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vol.103 リサイクルショップ飛行船 専務取締役 桶田 博信さん

栃木の大八車が、沖縄宮古島で水牛車に生まれ変わる。
捨てる人、分ける人、再度使う人。
循環型リサイクルには、人と人を繋ぐドラマがある。
hikousen.jpg





■循環型リサイクルには未来が見える
答えは父の背中にあった

夢を飛ばせるような会社を立ち上げたい。そんな思いで名付けた社名が「飛行船」。鹿沼街道沿いにあるリサイクルショップ飛行船の創設は、平成18年。それよりも随分前から、現代表である桶田社長は県内のリサイクル問題に取り組んできた。今回お話しを伺ったのは、社長の息子さんである、桶田専務だ。
「物心ついた頃から、小学校・中学校と、いつも父の背中を見ながらゴミ収集の手伝いをしていました。毎週土日は手伝い、それが当たり前だと思っていました。」
桶田さんの遊びの延長線上には、いつもリサイクルがあった。
「恥ずかしい気持ちもありましたよ。でも、こんなものでもお金になるのか…というのが幼い頃から分かっていて…まさに塵も積もれば山となる。分別することでゴミが資源として生まれ変わることがすごいことだな、と思っていました。」
 桶田さんが父親と同じ道を歩み始めたのが、ちょうど22歳くらいの頃。将来に行き詰まりを感じていた桶田さんは、ボランティア活動をしながら船に乗り、世界一周をする旅に出た。訪問先は発展途上国が圧倒的に多かった。屑やスクラップの山から資源を見つけ出して、お金に換えて生計を立てている人たちと交流を続けるうちに、答えは身近なところにあったことに気がついた。父のリサイクルの活動、それ自体が原点であり、やりがいのある職業であった。
「元々資源の少ない日本もリサイクルに自信を持って取り組めば、世の中がもっと明るくなるのではないかと感じました。変えられるところはたくさんある。船を降りる際には、居ても立ってもいられなくなっていましたね。」





■テーマはイメージの払拭
意識改革が、社会をより
クリーンに変えていく

 「宇都宮という土地にリサイクルを根付かさせたのは、うちの父親の草の根活動が功を奏した結果でした。」
平成に入って間もない頃、まだリサイクルという言葉自体の認知度も低い時代に、父である桶田社長はゴミステーションの18種類の分別を提唱し続けていた。何十年という歳月をかけ、自治会や子供会で地域の人たちに伝えながら、回収活動を行ってきたのだ。
「今でこそリサイクルショップも増えてきましたが、その当時は言葉自体がなかったので分かってもらうことが大変でした。ひと昔前は何もかも、一緒にゴミ箱に放り込んでいましたからね。」
 リサイクルとう言葉が承認され始めたのが、ここ5〜10年の間。今、桶田さんが取り組んでいる課題は、「暗い・埃っぽい」リサイクルショップのイメージを払拭させることだ。その具体的な試みとしてオープンしたのが、宇都宮の鶴田にある飛行船の2店舗目。1Fがアンティークショップ、2Fが地元の無名アーティストを支援するためのギャラリーとなっている。
「万人に受け入れられ、時代に合ったイメージに変えていきたいんです。そこにある家具は全て、栃木県内の一般家庭に眠っていたものばかり。でも少し磨きを掛けるだけで、充分価値のあるものに生まれ変わるんです。楽をすればゴミになるものばかりだけど、苦労と努力でゴミの山だって宝になる。それが仕事として成り立つことが、僕にとっては幸せなんですね。」
「買取の際の、『こんなもの売れるの?』という意識改革もテーマです。不要な物に手を加えるということが、リサイクル。使わなくなったら持ってきてもらって、また次のユーザーに渡っていく。そんな循環型リサイクル社会というのが原点でなければならない。ただ少し、手を加えるだけでいいんです。安い新品を買えばいい、というのも一理あるけれど、元々日本は資源の少ない国、何から何まで新品だとすぐに底を付いてしまいます。物の寿命を決めるのはユーザー次第ですから、誰の手に渡るかで寿命も決まる。飛行船という会社から、再利用すれば使えるんだよということを伝えていきたいですね。」
 買い物に来た一般のお客さんには、必ず飛行船のコンセプトを伝えるようにしている。そうすることで、使わなくなったものが発生した時に、「持ってくるなら飛行船」と認知してもらえるようになる。今、桶田さんは来る日も来る日も『意識改革』に奔走する毎日だ。
「僕のささやかな夢として、この『飛行船ファン』をもっと増やしたい、というのがあるんですね。それから、地域の皆さんとの交流も盛んに行って、社員スタッフによる家庭菜園もやってみたい。中古の農機具を利用して、良い野菜、おいしい野菜の作り方を情報交換しながら行ったり、家族連れの一般の方にもぜひ農業体験もしてほしい。それからいずれ、そこで収穫した食糧を使った飲食店やカフェも実現していきたいですね。」



■捨てる人、分ける人、
再度使う人

リサイクル業で、一番面白いと感じる瞬間について聞いてみた。
「面白いなと感じるのは、ゴミやリサイクルを通じて人と人とのドラマが生まれたり、驚きや感動、衝撃を感じられることですね。」
現在、飛行船は地元ラジにて番組を担当している。主な内容は、ゴミを出した人とそれを再利用して買ってくれた人をジョイントし、そこから生まれるエピソードを紹介していくというものだ。
「お客様の想像をはるかに超えて、ゴミがすごい生まれ変わりを果たすんです。うちの商品はネットでも販売しているので、ユーザーさんは日本全国にいるんですよ。例えば、処理に困っていた栃木からの大八車が、遠く離れた沖縄の宮古島で、水牛車として活躍していたりする。粗大ゴミが立派な観光資源に再生するんですよ。お客様同士も双方で連絡を取り合って、実際に行き来して交流が生まれたりもします。絶対数としての物資が少ない沖縄や九州地方から、栃木までわざわざ商品を見に来られるお客様も、決して少なくありません。そんなお客様の姿勢から、僕が知らなかったことを教わることがどれだけ多いか、ゴミが人と人を繋げてくれるといっても、過言じゃないんですよ。」
元々は不要物として手放されたゴミ。そこに手を加えるのも人。それを再利用するのも人。命を吹き込まれたモノたちから、日本全国で、新しいドラマが生まれている。


飛行船のHPはこちらですhttp://www.hikousen-rs.com/

| | 2010.02.18 |

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