「信頼」という2文字で繋がったプロフェッショナル
チームが手がけるブライダルは、年間1000組を超える。
100年先も現存する式場を目指し未来を馳せる。

■前を走る父の背中を追って
株式会社鈴屋は、那須塩原での小さな呉服店からスタートした。今ではウエディングを始め、アジア諸国の家具・雑貨店、写真館、宝飾事業など、事業は何倍にも拡大し、多岐にわたる。那須高原のセントミッシェル教会などを含むグループは、年間1000組以上のリゾートウエディングプロデュースを手がける。
代表取締役の鈴木社長の長男で、現在ウエディング部門の支配人である鈴木さん。10年ほど前に家業である(株)鈴屋に入社し、各部門を担当。この7月にウエディング部門に着任した。
「先だって大改造が行われたばかりで、人員の大移動がありました。これまで私は何年間も、アジアンオールドバザールという複合ショップの、雑貨などを専門に扱う部門を統括していました。ブライダルに関わる事業は初めてになります。」
幼い頃から父の背中を見て育った。学生の頃は反発もした。最初は家業を継ぐ気はなく、製造業務の仕事をしていた。
「時々土日に人手が足りないからと、家業を手伝うことがありました。ラインの仕事とは違って人と接するところから始まる仕事なので、やっぱりこっちの方が自分には合ってるなと思ってましたね。」
間接的ではあったが、働く父親の近くにいるとそのすごさに気づくことが何度もあった。
「愚痴も弱音も吐かず365日仕事にいそしんでいる姿を見て、この人すごいなあと思う瞬間がたくさんありました。これまでは家族として身近すぎて気づかなかったんですよね。社員からも尊敬されているのがよく分かる。そんな父親から頭を下げて、家業を手伝ってくれとの依頼を受けたのが10年前。こんなすごい人が本気で言ってくれてるわけだから、断ることは出来ないと思いました。」
社長である父親の人間性に惚れ込んで入社した。実の息子とはいえ特別扱いはない。他の社員と同じように、新人からスタートした。
「現在私は、実家で父と同居しているんです。自ら望んだんですが、父が仕事以外ではどのように日常を過ごすか、その裏舞台も知っておきたいという思いがあったからなんです。」
■現場スタッフの声に耳を傾ける
会社で初めての業務は、アジア諸国への買い付けの仕事だった。社長が訪れたバリで、家具や雑貨に心底惚れ込んだことをきっかけに、バリ家具や雑貨の専門ショップを新規で立ち上げる話が持ち上がっていた。毎月の仕入れに各国を訪れるスタイルが、その後何年か続いた。
「最初はウブド那須といってバリ専門店だけだったのですが、4年間のうちにはベトナムやネパールなどの専門店も加わって、アジアンオールドバザールという複合ショップが完成しました。年の半分は海外で過ごしていましたが、中には命に関わるような危険が伴うこともありました。」
社歴も長くなり、部下を持つようになると様々な悩みや壁も出てくるようになる。そんな時にある出来事が起こった。
「スタッフ同士のミーティングの際、部下から涙ながらに『もっと時間を作ってくれないか』と訴えられたんです。その頃の僕はワンマンな運営をしていたと思います。トップダウンで進めていたことも多かった。現場のスタッフを無視していたんですね。スタッフに『信頼されていない気がする』と訴えられた時は、頭をハンマーで殴られたような衝撃がありました。
それから、鈴木さんの意識は現場主義へと大きく変化した。現場で実際に働くスタッフのことを大切に思うようになった。
「今、私が所属するブライダル部門のスタッフ、みんな最高レベルの人間が揃っていると自負しています。各分野におけるプロ意識はもちろん、お客様への最高のサービスをと常に考えている心豊かなスタッフばかり。どこに出しても恥ずかしくないと思っています。」
「先日とても感激したエピソードがありました。遠方より見学に来られたお客様がいらっしゃった時に、まだ入社数ヶ月の新人のスタッフ達がこぞって、自分が案内役を…と我先に名乗り出てくれたこと。嬉しかったですね。まだまだ未熟かもしれない、でも自分に今出来る最高のおもてなしをしていました。分からないことがあればすぐに先輩の助言を聞きに飛んで来ながら、一生懸命館内を案内する姿…新人といえ、責任逃れをするようなスタッフは一人もいないというそんな姿勢を、とても誇りに思いました。」
この7月に鈴木さんが着任して10日目に、スタッフの前でスピーチをする機会があった。そこで鈴木さんはこうスピーチした。
「このスタッフとだったら、必ずやっていける。私は確信しています。是非一緒にやっていきましょう。」
その後に開かれた歓迎会では、スタッフ達から感謝の言葉を贈られた。
■失われることのない
現存する式場でありたい
「結婚式というと、確かにその日限りのセレモニーかもしれない。でも生涯に一度、二人が誓いを立てて結ばれる大切なセレモニーですよね。だから、私はその日限りというような関係性でのサービスはできるだけしたくないと考えています。友人というのもおかしいですが、出来ればお客様と弊社のスタッフは、特別な関係であり続けたいんです。」
5年先、10年先もつながりのある関係性でいたいという思いから顧客管理体制を強化したり、式を終えたら一歩も足を運ばないというのではなく、記念日には食事ができるようにレストランも併設した。レストランを利用されるご夫婦にはメッセージ付のスイーツや、写真を撮影するなどサプライズ的なサービスも実施している。販促物等にも独自のこだわりを持っている。お客様の立場でとらえ、心のこもったものをお伝えしたい。だから敢えて手書きで書くという事も今後、取り組んでいくそうだ。
「ブライダルってお二人にとってはかけがえのない思い出となるものなのに、仕事としてやってしまうと式の一つ一つが『こなし作業』になっていく時がある。それってすごく危険だなと以前感じたことがあるので、絶対にそうならないようにするのが私たちの役割です。お二人が喜ぶのは当たり前、目指すのはゲストから100点満点をもらえるウエディングですね。」
荘厳な造りの教会は、一つ一つの資材を海外から取り寄せ、細部にまでこだわりぬいた強固で美しい造り。
「安く仕上げることは出来ますが、100年先も残っていく建物にしたかったんです。自分たちが式を挙げた場所が失われてしまうのは悲しいことだと思うんです。30年先、50年先も現存する式場でありたい。そして時を刻んで、親子2代でこの式場で式を挙げられる方が増えていけば…と夢見てます。」
「ブライダルは、本当に良いお仕事です。」
感慨深く頷きながら発せられるその言葉には、仕事へのプライド充実感が感じられた。
| | 2009.09.19 |
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