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Vol.95 リサイクルブティックくれそん 代表取締役社長 新井 祐さん

リサイクル文化の発展と共に、事業も拡大。
「人」と「モノ」を繋ぐショップ展開は
社会貢献という次のステージに進化した。
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■商売をしながら思い出を語る
トルコのバザー


20代の頃、海外旅行で訪れた数カ国で目の当たりにしたのは、市民の手で作り上げられた大規模なバザーや市場の文化だった。トルコ、中国、エジプト…いずれも、生活用品をリサイクルする精神がしっかりと根を
張っていた。
「当時の日本はバブル崩壊で大量消費社会にも陰りが出始め、物を大切にしようという風潮が芽生えてきている時でした。トルコで出会ったバザーのおばあちゃんなんかが、商売しながらも愛用品をエピソードと共に、楽しみながら売る姿を見て感慨深いものがありましたね。」
 リサイクルブティックくれそんの代表取締役、新井社長。現在の仕事に携わったスタートは25歳の時。
「元々母が趣味から始めた事業でした。私は大学で経済を専攻し、数年飲食関係の仕事もしていたんですけど、母の要望もあって始めました。面白そうだなという、最初はそんなスタートでした。」
 その後事業は順調に発展を遂げ、1年ごとに1店舗ずつ開店、現在に至る。
「昔は、リサイクル店というとどちらかというと表に出ない商売で、立地も裏路地が中心でした。しかしリサイクルが市民権を得るようになって、流れが変わったんです。弊社店舗も、最近移転した陽南通り店もそうですが、全店舗表通りに面した立地に変わりました。」



■新井社長が考える
リサイクルショップとは


「例えば子育てを始められて、毎日忙しく、しばらくおしゃれとは離れた生活を送っておられたお母さんが来店されることがあります。子供の保護者会などに着ていく洋服を何にするか…いつもはダークな色合いの服を選んでおられたその方に、当店のスタッフが似合う色をチョイスして、普段は着ない色のスーツで出かけられた後、周りに大好評だったと嬉しそうにご報告頂きました。」
「毎日来てくださる方もいらっしゃるんです。そんな方が突然来られなくなると、心配になります。以前、毎日来店くださっていたあるご婦人が、3ヶ月間いらっしゃらない時がありました。後になって分かったことですが、入院をされていたとのこと。退院された後はすぐにご来店頂き、お店に来るのを楽しみにしていた、と涙ながらにお話頂いたこともありました。」
 そんな新井さんが育った家庭は、代々商売人の家系だった。
「母のやり方は現場主義。時に意見が食い違うこともあります(笑)。僕は経営者としての立場で長期的プランの中で話を進める、見極めることが求められますが、母は自分の勘を何よりも大切にしている。しかも、商売においては天才的とも言える嗅覚を持っていると、息子ながらに思うことがあります。本音で、細心の接客をしている、そんな姿を幼い頃から見てきたので、尊敬している部分ですね。」
 
 リサイクル店というと、比較的安価で、色んなおしゃれを楽しめるという利点もある。それは宝探しをしているような感覚に近いのかもしれない。
 新井さんが特に注意しているのは、一人一人のお客様に対応できるよう、地域密着型の運営をすること。毎日来店してくださる方が多いため、商品も毎日入れ替える。
「ただ、何かトレンド感がないと駄目なんですよね。良質のブランドでも、デザインが古いと売れなかったり。まず第一にデザイン、次に素材、それからメーカー(ブランド)。いずれかの要素が重なると売れるんです。」
  店内には新品同様の商品が数多く整列され、リサイクルというよりは、店舗名の通り、正にブティックの様相。陳列も見やすく、季節感を出したレイアウトで工夫されている。

 リサイクル品に関しては、量り売りでの販売も増えているが、くれそんの理念は一品一品を大切に扱うことだ。
「扱うものは洋服やバッグなど、装うものがほとんどですが、そういうものって思い入れや歴史が、感慨深く詰まっているものなんです。その方のアイデンティティをそのまま表すようなもの。だから取扱には細心の注意をして、配慮しています。」
 商品を大切にする上で、働くスタッフに求めているのはハートの部分が締める割合が多い。店内のレイアウトや配置に関しては、外部のものを参考にするのではなく、従業員やスタッフの考えを全面に取り入れている。常に逆の立場で考えてみることが大切、マニュアルがないのがマニュアルだそうだ。
「例えば高齢のお客様が来て、イスを出せるかどうか。マニュアル化が出来るものではない部分まで、気遣いできるかというのが一番難しいし、人間性が表れるものだと思います。」



■手段と目的の一致
そこには社会貢献という
新たなテーマが加わった


現在、新井さんが取り組んでいることは、米国宝石学会鑑定士(GIA・GG)の資格の取得だ。リサイクルショップでこの資格を持っているところはほとんどない。むしろ、日本国内でも何千人単位でしか認定されていない、難易度の高いものだ。宝石のきちんとした知識と良さをお客様にお伝えするために、挑戦し続けている。
「今、第二次ともいえるリサイクルブームが来ています。ただ、ショップの中にはあまり信頼度の高くないところや、正当なモノの価値基準があいまいなところもあります。弊社は常に、正当評価の買取をし、また処分品が並ぶといったイメージを一掃させた、美しい店内ディスプレイには努力を惜しまず日夜取り組んでいます。」
 最後に、経営者としてのご自身についてお話を伺った。
「元々楽天的な性格なので、恐いもの知らずでこの世界に飛び込んでいったと思います。私の考えとしては、いかに自分より有能な人に来てもらうか、というのが重要だと考えています。その人が持っている才能を十分発揮できるように、縁の下の力持ち的な経営人でありたいと願っているんです。」
「そして何のためにお店を運営しているのか…最終目的としては、社会貢献をしたいという思いが根底にあります。」
新井さんは宇都宮青年会議所に所属し、宇都宮市内で毎年開かれる宮まつりなどのボランティア活動を行っている。中でも任務は「環境委員会」という部署だそうだ。社会貢献も踏まえた、企業単位での貢献という考え方がベースにある。
 新井さんが心訓にしているものの一つに、かのディズニーの名言がある。

私は、事業のために
映画を作っているのではなく
映画を作るために
事業をしている

「一つ高い視点で物事を見る、仕事もそう。そうすれば、苦しいことが苦痛ではないですし、窮地になっても考え方一つで楽しくもなるんですよね。手段と目的が逆になっては駄目で、そこには一貫性が必要です。仕事の喜びはそこにあるんじゃないかな、と思っています。」

| | 2009.05.29 |

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